19/FEB/2017 No069  F-1バルセロナ公式テスト2017

2017-02-07 (13)

F-1 2017 バルセロナ公式テスト

2017年2月24日からバルセロナテストが始まります。ピレリの”ワイド”タイヤを履いた各マシンがどのようなタイムを刻か注目しましよう。実際に走行するまでは、どれほどの性能向上があるのか明確な答えは得られません。しかしチームは各自でシミュレーションに取り組んでおり、シーズンを前にどれほどの向上が得られるかについて、それぞれ独自の考えを持っているはずです。 例えば、予測ではバルセロナのターン3は全開で抜けられるようになり、通過速度が2016年より時速30km速くなると見られている。よって、5G以上の横荷重がドライバーの首を襲うことになる。あるチームのエンジニア(匿名希望)によれば、昨年はバルセロナの1周のうち全開率は50%だったのに対し、今年のマシンの全開率は70%まで上がるという。マネッティ・マレリ(電装部品のサプライヤー)のシミュレーションデータによれば、高速サーキットであるモンツァでも、全開率は2016年の69%から80%まで上昇すると見られている。

2016年は5基のパワーユニット使用が許されていたが、2017年はコスト削減策の一環として4基に減らされる。これにより、1基のパワーユニットで丸5レースを戦わなければならないことになり、マニュファクチャラーは二重の意味でパワーユニットに気を配らなければならない。燃料の使用制限量が1レースあたり100kgから105kgに増えるため、よりプッシュできるようになり、パワーユニットへの厳しさが更に増えます。

F-1 2017年 新レギレーション

まずマシンがこれまでの1800mm→2000mmへワイドになります。リアエンドのディフューザーも跳ね上げが大きくなって(125mm→175mm)、ダウンフォース発生量は30%以上も増加するとみられています。そして、タイヤもワイドになりフロントは245mm→305mmへ、リアは325mm→405mmへと拡大し、1992年以前のレベルまでワイドになります。

ただし、マシン自体の見た目は、それほどワイドな印象を与えないでしよう。たとえば、1988年のマクラーレン・ホンダMP4/4の全長4394mm、1998年のMP4-13は全長4547mm、2016年のMP4-31では全長は5000mmを超えています。2017年はフロントウイングの先端がさらに前へ伸びるため、全長はさらに長くなるでしよう。空力改訂によってダウンフォース量が増加することに加え、タイヤのグリップも増加し、設計コンセプトも大きく変わります。これまでピレリのタイヤは「グリップが低い」「脆(もろ)い」といった批判を浴びてきたが、これは2010年の供給開始以来、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)や運営側からの「性能低下が大きく、レースを面白くするタイヤを作ってほしい」という要望に応えてきた面が大きかった。 しかし最近では、各チームがこうしたタイヤの特性を隅々まで把握し、レースでは攻め過ぎてタイヤを壊さないようにあえてペースを抑え、”手加減”して走るというような争いになっていた。こうした興ざめな事態にドライバーたちからも不満の声が上がるほどで、彼らが全力でバトルを繰り広げる場面を望むファンのためにも、この事態を打開すべく、2017年は”アタック”できるタイヤへと生まれ変わります。「タイヤの設計コンセプトを完全に刷新して、ワイド化しただけでなく、コンパウンド(表面ゴム)もコンストラクション(構造)も完全に違うフィロソフィで設計した。そして、大幅なデグラデーション(磨耗による性能低下)やオーバーヒートが起きないタイヤを作り上げた。2017年はタイヤが安定したパフォーマンスを発揮し、ドライバーたちがプッシュできるはずだ」

このようなマシン規定の変更によって、ラップタイムは5秒も速くなり、「GP2やWECとほとんど変わらない」と言われた過去数年のF1とは大きく様変わりするだろう。また、マシンがワイド化することで追い抜きが難しくなる要因になるのではないか、という声もある。フロントウイングが大きくなることで、接触の可能性も増えそうだ。モナコやシンガポールのようにコース幅が狭いところでは、2台が並んで走ることすら困難なセクションもあると予想される。

一方、パワーユニットの規定は基本的に何も変わらない。1.6リッターV6のICE(内燃機関エンジン)にTC(ターボ)をつけ、MGU-K(運動エネルギー回生システム)とMGU-H(熱エネルギー回生システム)というふたつのERS(エネルギー回生システム)で発電・放電を駆使する技術規定はそのままだ。ただし、開発を制限していたトークン制度が撤廃され、自由な開発が可能になる。これまではトークンを最大限に使っても、1年間に開発できるのが48%程度のパーツに限られていたため、大幅な設計開発はできなかった。しかし、2014年の新規定導入以来、メルセデスAMGのパワーユニットが持つアドバンテージが今になっても揺るがないため、この制約を取っ払ってライバルメーカーたちに挽回のチャンスを与えようというわけだ。これによって2017年は、各メーカーともパワーユニットの構造まで含めた大幅な見直しをしている。あまりに複雑なパワーユニット規定ゆえ、見切り発車の面もあった2014年当時に比べると、各メーカーとも過去3年間の経験をもとにある程度の”正解”が見えてきており、今回の再設計でメーカー間の差はかなり縮まるとみられている。もちろん、開発が自由といっても「1年間に使えるパワーユニットは4基のみ」という規制は存在する。つまり、シーズンが開幕してしまえば、あとは残り3基の投入タイミングでしか設計変更を施した新パーツの投入はできない。開幕時点と残り3回、計4回のアップデートチャンスを最大限に生かしたメーカーが優位に立つことができるのだ。

ホンダは2017年、パワーユニットのレイアウトを変え、メルセデスのようにタービンとコンプレッサーを分けて配置する方式を採用するようだ。マクラーレンのテクニカルディレクターであるティム・ゴスは、ホンダのパワーユニットは新しいレイアウトと新しい構造を持ったものになると認めた。「新しいパワーユニットは、過去2シーズンで学んできたことが多くの部分を占めているが、今シーズンに向けて特別な再設計がなされている」と彼は語った。再設計の詳細は明かされていないものの、ホンダが過去2シーズン使ってきた『サイズ・ゼロ』コンセプトからの脱却をホンダのF1責任者である長谷川祐介がGOサインを出したという情報がある。サイズ・ゼロコンセプトは、パワーユニットのパッケージを出来る限り小さくすることを目的としており、V6エンジンのVバンク内にターボとコンプレッサーを収めていることが特徴だった。しかし2017年のパワーユニットをメルセデス式のレイアウトにすることを決定したようです。メルセデス式では、コンプレッサーはパワーユニット前方、ターボが後方に配置されている。そして、メルセデスがやっているように、ターボとコンプレッサーはVバンクの内側を通るシャフトによって連結されるだろう。それと合わせて、インタークーラーもシャーシとパワーユニットの間に配置されるだろう。これにより、パワーユニットの重心を大幅に下げることが出来る。現在、さくら市にあるホンダの研究所のテストベンチで、新型パワーユニットのテスト作業が進行中である。 パワーユニットの寸法はこれまでよりも若干大きくなってしまうものの、それでもマクラーレンは新車MP4-32に非常にタイトなリヤエンドパッケージを用意することができると考えられている。パッケージの変更に加え、昨年エネルギー回生で良い手応えを感じたホンダは、内燃機関の改善にも力を注いでいる。ホンダは、フェラーリが上手く活用していると言われているターボジェットイグニッションシステムと似た、燃焼室内に燃料を噴射するマルチジェットインジェクターシステムを採用していると予想されている。