27/MARCH/2017 No072 オーストラリアGP

2017-03-25

 

2017-03-26 (1)

 

3月26日、開幕戦オーストラリアGP 

オーストラリアGPの決勝ではフェラーリのセバスチャン・ベッテルがメルセデスのルイス・ハミルトンを下し逆転優勝を飾りました。フェラーリの勝利は何と2015年以来になります。セバスチャン・ベッテルとスタッフの歓喜の映像が何度も映し出されました。期待のマクラレーン・ホンダはストフェル・バンドーンがスタート直後、ダッシュボードに何も表示されなくなったと無線で訴え、9周目の終わりにピットストップしてエンジンの再始動を行ったり、バッテリーが充電されないなどのトラブルが続きます。アロンソはサスペンションの不調を訴え、50周目から51周目のメインストレートで2台同時に抜かれ、マシンが左に引っ張られるという無線が入りガレージに戻りリタイアしました。

バルセロナテストでホンダは初日にパワーユニット(PU)に油圧が落ちるという不具合が生じ、2日目はエンジン本体の6気筒のうちのいくつかが壊れてしまいました。2017年ホンダは具体的に明言していませんが、現在F1界でライバル勢が採用しているタービュラントジェットイグニション(TJI)を導入したと考えられます。TJIとは、ピストン内の燃焼室の中にもうひとつ小さな副燃焼室を作り、そこで点火爆発させた炎によって主燃焼室での本爆発を起こすというシステムです。例えるなら、従来のシステムが火花による点火・爆発だったのに対して、TJIは火炎放射器による大爆発。同じ燃料で爆発力が大きければ、燃費も向上して馬力アップに繋がります。オーストラリアGPフリー走行では殆ど問題が出ませんでした。しかし、決勝では問題が発生して更に速さが……ありません。2017年の課題は絶対的なパワー不足です。パワーを上げるために改良型のP/Uを開発しましたが完成にはまだ時間がかかります。それは極めて特殊な技術で、F1のような1万2000rpm回転のエンジンにおいてはコントロールが難しく、そこに手こずっているとホンダ関係者は語っています。だからパワーが出ないし、バイブレーションも起きる、最高のパワーを出すためにはICEの燃焼室形状から手直しする必要があるそうです。開幕戦仕様P/Uは昨年型の40~50馬力落ちで、まだ昨年の最終型「スペック3.5」の出力まで至っていないそうです。「こんなことになるなら、去年のエンジンのままでよかったよ」とアロンソは長谷川総責任者に向かって吐き捨てたとも言われています。しかし、昨年型をいくら改良したところで、メルセデスAMGに追いつくことは絶対にできない。ジェットイグニッション技術もしくはそれに代わる新技術の導入というのは、勝利を目指すためには渡らなければならない橋だった。2010年以前から基礎研究開発を続けてきたメルセデスAMGでさえ5年かかり、フェラーリは2016年から2年かかり、ホンダとルノーは2016年後半になってようやく実戦投入に辿り着いたが、そう簡単に確立できるものではないようです。そんな時間と新技術の闘いのなかで、2017年開幕戦を迎えました。現状のRA617Hは、伸びるための技術は手に入れたものの、まだそれを使いこなす段階には至っていません。未完成のまま開幕を迎えました。勝利を目指すためには渡らなければならない橋を、ホンダは渡った。渡ったがゆえに、今こうして苦しんでいる。その橋を渡りきったとき、RA617Hはどこまで進化するか――。P/Uの2基目、3基目、4基目を投入する度の進化を見守りましよう。